慎重な人の特徴・心理・対処法
だれの身の回りにも必ずいる「慎重な人」。
慎重な人はなかなか行動しないのでイライラすることもありますが、一方で考え抜いて行動するのであらゆるリスクに対処することもできる人です。
職場に慎重な人がいれば安心して仕事を任せられる代わりに、納期には注意しないといけませんね。
今回は慎重な人の特徴や心理、対処法について考えてみます。
慎重とは
「慎重」には「大事を取って軽々しい行動をしないこと」と言う意味があります。
反対語となる「軽率」の意味を考えてみると慎重の意味が正しく理解できるでしょう。
軽率はあまり深く考えずに軽々しく行動をすることで、慎重は反対に行動する前に深く考えてあらゆる面からチェックをすることです。
慎重な人のことを「石橋をたたいて渡る」という表現をしますが、普通は壊れることがない石でできた橋も信用しないで、渡る前にたたいて確かめるほど慎重だという意味ですね。
しかし、古くなればコンクリートのトンネルが崩れることもあるので、慎重になることに越したことはありません。
少し脱線しましたが、「慎重な人」というのは、よく考えてから行動する人ということになります。
これに対して同じような言葉の「臆病な人」は少し意味が違います。
臆病な人はリスクを恐れて最終的に行動しないことを選択しますが、慎重な人はリスクがあっても対応できると判断すれば行動することも選択できます。
慎重な人と臆病な人の違いは、リスクに対して避けるのか、対策を考えるのかという点です。
慎重な人は恐れるだけでなく冷静に判断して対策を考えることができるのです。
慎重な人の特徴・心理
まずは慎重な人にはどんな特徴や心理があるのか考えてみましょう。
心配性
慎重な人は心配性なところがあります。
外出してからも、家の戸締まりをしたかどうか、電気を消してきたかどうかなどを気にします。
もちろん慎重なので家を出るときにはしっかりと確認してからでかけますが、でかけてからも気にして後ろを振り返るような行動をするのです。
そのため行動が遅くなるというデメリットもありますね。
筆者の知人にアパートの鍵がかかっているかどうか確認するために、ドアノブをガチャガチャとしている人がいました。
鍵がかかっていても開いてしまうのではないかという勢いで確認するのです。
これは慎重や心配性とはちょっと違っていて、強迫性障害という症状のようなので慎重な人とは違います。
間違いを恐れる
慎重な人が行動する前にいろいろと考えるのは、間違った行動をしてしまって失敗することを恐れているからです。
つまり慎重な人は、性格的には臆病な性格という特徴があります。
2択を迫られたときになにも考えずに直感で一つを選ぶ人がいますが、慎重な人はふたつの内一つを選ぶ場合でも人よりも時間をかけて悩みます。
これは慎重な人が間違った選択をしてしまい、後で後悔することを恐れているからです。
特に職場で仕事をしている場合は選択を間違えてしまうと、結果によっては会社に損害を与えてしまうかもしれません。
さらには上司の自分に対する評価が下がり、評価に影響することもあるでしょう。
慎重な人はそうした失敗したときのあらゆるマイナス面もやる前から考えてしまいます。
その結果、失敗を恐れるあまり選択に時間がかかってしまうのです。
質問が多い
慎重な人と会話をするとやたらと質問攻めにあうことがあります。
慎重な人は初対面の相手に対してすぐに心を開くことはなく、相手がどんな人なのか十分に理解してから打ち解けるタイプです。
そのため特に初対面の相手に対しては質問をして、相手の素性を知ろうとしてきます。
反対に自分のことに関しては相手に対してあまり話そうとしない特徴もあります。
よく知らない相手に対して自分のプライベートのことまで話をするのは抵抗があるからです。
結果としては自分のことはあまり話さず、相手のことは根掘り葉掘り聞きたがるということになります。
初対面の場合は、慎重な人はあまり印象がよくありません。
しかし一旦相手のことをよく知ってしまうと、打ち解けて普通に接することができるので、むしろ慎重な性格から頼りにできる友人になれる可能性があります。
考えることが好き
慎重な人はそもそも考えることが好きという特徴があります。
いわゆる熟考型のタイプと言ってもいいでしょう。
慎重な人が長い時間をかけて結論を出そうとしているのは結論を先送りにするためではなく、むしろ結論を先送りにするのが嫌で今結論を出そうとしている結果に過ぎません。
物事を判断するためには、考えることがいろいろあるので考えることが嫌いな人は結論を先送りにしてしまいます。
しかし慎重な人は考えること自体が好きなので、時間をかけて考えた上で結論が出せるのです。
普通の人が10分位で結論を出してしまうことを、慎重な人は数時間かけて結論を出すという例えでおわかりいただけるでしょうか?
つまり慎重な人は考えることが好きなので熟考することに苦痛を感じないため、普通の人よりも正確に物事を判断できると言えるでしょう。
相手の気持ちも考えられる
慎重な人は論理的に物事を考えることが多いので、相手の気持ちを察することが苦手のようなイメージがあります。
しかし、慎重な人はあらゆる可能性を考えた上で物事を判断するという客観的な視点を持っています。
そのため、相手の立場についても考慮するので、相手の気持ちも考えることができます。
常に客観的な視点で論理的判断するわけではなく、表面的ではありますがある程度は感情面も考慮することができるのが慎重な人の特徴でもあります。
過去に失敗例も多い
慎重な人というと失敗をしないというイメージがありますが、実は過去に多くの失敗を重ねたことで慎重な性格になったというケースもあります。
軽率な人は失敗を繰り返しても、運が悪かった、タイミングが悪かったと思っているので、次も同じ失敗を繰り返します。
しかし同じ失敗を繰り返した人の中には、このままではいけないと思って失敗した原因を考え同じ過ちをしないようにする人もいます。
後者が失敗を繰り返したことによって慎重な人になったというケースでしょう。
そういった意味ではもともと論理的に考えることができる性格だったとも言えます。
もし、軽率な行動をしてもすべてうまく言っていたとしたら、慎重な性格にはならなかったのかもしれませんね。
また、失敗しても気にせずにむしろ失敗を楽しめるような性格であっても、慎重な人にはならないでしょう。
失敗をする人の中でも一定の要素がなければ慎重な人にはならないのかもしれません。
自分は頭がいいと思っている
慎重な人は、自分は頭がいいと思っています。
その理由は浅慮な人や軽率な人が失敗して、慎重な自分が成功するのと比較しているからです。
浅慮な人が失敗したのを見ると、慎重な人は自分のように行動する前によく考えていれば失敗することはなかったと考えます。
そのため浅慮な人の行動を見ると自分のほうが賢いと思ってしまうのです。
もちろん慎重な人も失敗することはありますが、浅慮な人ほど失敗の数が多くないのは確かです。
行動をする前に失敗の可能性を十分に考えて対策をしているので、成功の可能性も高いからです。
前例がないことは苦手
慎重な人はいわゆるチャレンジャーではないので、だれもやったことがないことを、先陣を切ってやるタイプではありません。
最初にやる場合にはリスクが伴いますが、初めてのことをやるときは事前にどんなリスクがあるのかを予想することは難しいのです。
そのため慎重な人は前例がないことをするのはリスクが高いと判断してやりたがりません。
むしろ浅慮な人や軽率と言われる人がなにも考えずに突き進むことができるので、新しいことをやるには向いているでしょう。
仕事として新しい事業を開拓するといった場合には、慎重な人が考えられるリスクを洗い出しておき、実際に行動するのは失敗を恐れない大胆な性格の人に任せるとうまくいく可能性が高くなります。
慎重な人は先陣を切るよりも、だれかが一度通った道を進むことに向いています。
プライベートでもだれかが試した後に新しいことに手をつけるので、周囲からはずるいと思われることが多いのも慎重な人の特徴です。
事前のリサーチや予想をする
慎重な人は行動をする前に必ずリサーチをします。
事前に調べてからでないと行動ができないと言ったほうが近いかもしれません。
慎重な人は失敗やミスなどを恐れるので、失敗を避けるためにあらゆるリスクを考えてその対策を決めてからでないと行動することができないのです。
事前のリサーチに時間をかけるので行動するまでは遅いですが、一旦行動をするとその成功率は高いのが慎重な人の特徴です。
また、あらゆるリスクを避けるために、ふだんからどんなリスクがあるのかを考えることが癖になっている人が多いようです。
たとえば寝る前に今、地震が発生したら、泥棒が入ったら、火事になったらということを考えて、頭の中でシミュレーションをするのです。
このように常にリスクを考えているので、いざというときには普通の人よりは冷静に行動することができます。
しかし、そうしたリスクが発生することは少ないので、その力を発揮するケースもほとんどありません。
よく災害対策の基本として「普段から災害を意識して行動しましょう」といったことが言われますが、普通の人は言われたときや災害にあったときはそうしようと考えますが長続きしないものです。
しかし、慎重な人は災害を常に意識できる人だと言えるでしょう。
用心深いが予期していない出来事に弱い
慎重な人には用心深いという特徴もあります。
そのため比較的簡単なことに対しても即答を避ける傾向があります。
簡単なように見えてその裏になにかリスクが潜んでいないかを考える時間がほしいからです。
また、リスクを察知する能力も高いので、仕事をする上では頼りになるパートナーとなります。
その一方で、自分が予測していなかったことが起きると、対処できなくなるという弱さも持っています。
つまりハプニング的なことやドッキリ、サプライズに弱いのです。
プライベートでもドッキリに引っかかると、笑うのではなく怒り出してしまうでしょう。
感受性が豊か
慎重な人は感受性が豊かだという特徴もあります。
慎重な人は想像力も豊かなので、同じように人の気持ちもよく理解することができます。
その結果、普通の人よりもいろいろなことに気づきやすく、感受性も豊かになっていると考えられます。
慎重な人は常にどんなリスクがあるのかを考えていますが、そのときにはいろいろな方向から物事を見るという視点を持っています。
そうした視点は他人の気持ちを理解することにも役立つので、人の立場に立って考えることもできるのです。
そのため他人の気持ちになることで感受性が豊かになるという特徴もあります。
学歴や資格が好き
慎重な人が嫌いなのは不確実なことです。
慎重な人はより確実なものを求めていると言ってもいいでしょう。
不確かなことしかなければ将来を見通すことができないからとも言えます。
そのため、自分がやりたい仕事や入りたい会社にはどんな学歴や資格が必要なのか、ということも事前に調べて取得しようとする傾向があります。
必要な学歴や資格を得ることでより確実に仕事を確保しようという考えです。
周囲の意見を気にする
慎重な人は論理的に物事を捉えるので、あまり周囲の意見には左右されないイメージがありますが、実際にはその反対に周囲に左右されやすい傾向があります。
慎重な人は行動する前に情報をリサーチしますが、集めた情報を判断するには周囲の反応や意見などを参考にします。
そのため、自分の考えよりも周囲の意見を優先する傾向があるのです。
この点は慎重な人が自分の意見に固執する頑固な人と比べて、臨機応変に対処できる要素となっています。
ただし、独断的な判断をしないので、情報が多すぎると周囲の意見に振り回されて、正しい情報を見極めるまでに時間がかかってしまうというデメリットもあります。
人間関係でストレスを感じやすい
慎重な人はリスクを避けますが、これは人間関係においても同じなので、なるべく敵を作らないように行動します。
その結果、だれにでも気を使って接することが多くなり、対人関係でストレスを感じやすくなります。
また、慎重な人はなかなか本心や本音を言うことができない特徴もあります。
本音を言うことで余計なトラブルを引き起こすことを避けるためです。
本音を言えないことで余計にストレスがたまってしまうのも、慎重な人の特徴です。
慎重な人のメリット・デメリット
ここで慎重な人にはどんなメリットやデメリットがあるのかも考えてみましょう。
慎重な人のメリット
慎重な人には以下のメリットがあります。
●簡単に騙されない
慎重な人はリスクを避けることが得意なので、詐欺などに簡単に引っかかることはありません。
論理的な思考も得意なので、詐欺などの矛盾点を見つけることができるからです。
●周囲から信頼される
慎重な人は真面目な性格で、失敗も少ないことから周囲からは信頼されている人物が多くなります。
●失敗のリスクが低い
慎重な人は事前にリスクを考えてから行動するので失敗するリスクはもちろん低くなります。
さらに失敗したとしても想定の範囲内であれば、失敗によるリスクも最小限度に留められるメリットもあります。
●問題点を見つけるのが得意
慎重な人はリスクや失敗を嫌うので、その原因となるような問題点を見つけることが得意です。
●想定の範囲が広い
慎重な人はあらゆるリスクや失敗、問題点を把握して行動に移すので、周囲から見たら失敗と思えるようなことも想定の範囲内ということが多くなります。
つまり想定の範囲が広いので失敗のリスクも少なくなるのです。
●リーダーに向いている
慎重な人は観察力も優れているので、周囲の人物の長所や短所も理解しています。
そのため適材適所ということがうまくできるのでリーダーに向いています。
●ギャンブルにはまらない
慎重な人は不確かなものは嫌いで確実なものを求める傾向があります。
そのためギャンブルと言った不確実なものには興味がなく、ギャンブルで身を持ち崩す心配がありません。
慎重な人のデメリット
次に慎重な人のデメリットも考えてみましょう。
友だちが少ない
慎重な人は本音を話したがらないことから、広く浅い付き合いを好むため友だちができにくいというデメリットがあります。
遊びやギャンブルを楽しめない
慎重な人は確実なことを求めるのでギャンブルをしないことはメリットですが、反対に遊び心に欠けるというデメリットもあります。
適度にギャンブルや遊びを楽しむということができないのです。
行動力に欠け、こもりやすい
慎重な人は頭で考えてから行動するタイプなので、行動力に欠けるというデメリットがあります。
そのため行動するきっかけを失って、家にこもりがちになってしまいます。
ストレスを感じやすい
慎重な人は対人関係も広く浅く、トラブルを起こさないように気をつけているので、ストレスをためやすいデメリットがあります。
嫌いなことが多い
慎重な人はリスクを取らないため、自分で選択肢を狭めている傾向があります。
そのためリスクがあることを敬遠して嫌いになるので、人よりも嫌いなことが多くなります。
自己評価が低い
慎重な人が考えてから行動するのは、自分に自信がないという裏返しです。
そのため自己評価も低く自己嫌悪に陥りやすいデメリットもあります。
慎重な人の対処法
慎重な人が職場にいてもトラブルを引き起こすような人ではなく、むしろ自分からトラブルを避けている人と言えます。
そのため慎重な人が職場にいても特に気をつけて接する必要もありません。
特別に対処する必要のないタイプの人ですね。
あえて気をつける点を挙げるとすれば、慎重な人は論理的、合理的な行動をする人でもあるので、感情的な部分や心理的な問題をくみとることは苦手です。
特に慎重な人が部下にいた場合、理屈だけで物事を捉えずに感情面も考慮して周囲との関係を築くことを指導してあげましょう。
慎重な人が向いている職業
最後に慎重な人にはどのような仕事があっているのかを考えてみましょう。
慎重な人には以下のような職業に適正があります。
- 開発研究
- 職人
- 人事部
- コンサルタント
- 学者
- プログラマー
- 事務・経理
- ネットワーク管理
上記の仕事は慎重な人のメリットや特性を活かせる職業です。
もし慎重な人が仕事に満足していないと考えるのであれば、それは自分にあっていない職業を選んでしまった可能性もあります。
可能であれば転職も選択肢の一つにして、現在の職業を見直してみるといいですね。
まとめ
慎重な人は職場でも周囲から頼りにされる人であることが多いので、それほど気を使って接する必要はありません。
むしろ慎重な人ほど周囲に気を使っているので、ストレスをためすぎないように注意してあげましょう。
また、自分が慎重な人だという自覚がある人は、あまり理屈だけで考えることをせずに、もう少し気楽に物事を考えることも必要です。
この記事が慎重な人が自分を見直すきっかけになると幸いです。